ボブ ゲルドフ と ザ ブームタウンラッツ 一九八〇年 来日
- All Photo by Akihiro Takayama -

元、音楽の友社 週刊FM編集長、前山のぶゆき氏執筆原稿 2001年春。

1960年代に花咲いた洋楽、いわゆる映画音楽、カンツォーネ、
アメリカンポップスといったワールドワイドポップスは、1970
年代に入ってアメリカ,イギリスを中心とするポピュラー
ミュージック(ロックを含む)に集約される。勿論ドイツ、
フランスなどにもそれなりのバンドが出現してスマシュヒット
を出すのだけれど、日本に入ってきて日本の音楽ファンを魅了
するものは、両国の音楽が主だった。
1971年にレッドツェッペリンが初来日、ピンクフロイド箱根
伝説も生まれている。翌72年にはビージーズ、カーペンターズ
、ディープパープル、ELOらが初来日、イーグルス、
ブルーススプリングスティーン、たちがデビュー。その後70年
代にはダイアーストレィツ、ポリス、TOTO、プリンスなど時代
を作ってきたさまざまなアーテイストが生まれてきた。まさに
70年代は百花繚乱といった黄金時代だった。
 週刊FM誌が誕生したのは1971年。まさに70年代洋楽の幕開
けとほぼ同じ時期だった。
 勿論国内の音楽シーンもこの洋楽の勢いに影響されて、今で
は大御所の仲間入りしているさまざまなアーテイストが育って
いくのであるが、それは今回別に置いといて。

ブームタウンラッツ ボブゲルドフが初来日したのが、1980年
春。当時前期のようにさまざまなアーテイストが来日したり
ヒットを飛ばして音楽シーンを席巻していたから、雑誌の記事
作りも、ただ単に情報を混ぜた来日告知をしたり、ヒット曲
PR原稿を書いていただけでは、なかなか読者を満足させるこ
とはできなかった。これは国内のアーテイストを取材する時に
もいえることで、週刊FMでは他のFM誌、音楽雑誌と、ひと
味もふた味も異なる記事作りを心掛けて読者に応えていた。
これが週刊FMのひとつの”売り”でもあった。
 来日アーテイストに関しては、東京での取材時間は雑誌社が
多いために一社で時間がそれほど取れず、招聘元に頼んで
地方公演についていったり、特別にオフ日(東京見物などの)
に同行させてもらったり、時には地方公演を隠密のうちに
追っかけ取材したり・・・。
 ブームタウンラッツ&ボブゲルドフが来日する、という
ニュースを当時のレコード会社のスタッフから聞いて、それで
は週刊FMならではの特撮を、と想い付いたのが、町のお風呂
屋さん、いわゆる銭湯を借り切って、全員お風呂につかってい
る絵(写真)を撮りたい、と無理をいった。
別にブームタウンラッツと銭湯の因果関係は何も無かった。
ただ絵的に変わったものが欲しいと思っただけで、もちろん記
事内容としては彼らの近況、初来日、音楽についてのフォロー
をするつもりだった。
 お風呂屋さんが一般のお客さんに開放する前に特別に使用さ
せていただくわけで、あとは彼等の取材日が決まればお風呂屋
さんとの交渉だけという段階になって、いたけれど来日スケジュールがつまり銭湯ロケの企画はみおくりになってしまった。
幸いにも彼等を公式同行写真取材していたフォトグラファー高山氏が
撮影したステージ写真などで来日レポートを構成した。
 今ボブゲルドフは音楽シーンのみならず、音楽を通してさま
ざまな活躍をしていると聞く。もしあの時に銭湯の特撮ができ
ていたら、更に楽しんでもらえたと思う!text by 前山のぶゆき
      






1980年 日本公演 ブームタウンラッツ ボブゲルドフの公式写真家 高山明弘 
Official Photographer of
BOB GELDOF & THE BOOM TOWN RATS
: ORIGINAL PHOTO EXHIBITION
All Photo by Akihiro Takayama